【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
今日は私に2つの課題が出来た。
それは両方とも隼を説得という大きなミッション。
自転車を諦めるといえばいいというかな…
どちらかひとつを選ぶとすれば挨拶まわりだ。
それもまたひとつになったということが実感出来る事だ。
「自転車は、いらないからって言ってみます」
「私も着物は、いらないって言うわ」
私の頭の中には綺麗な着物とママチャリが並んで
そもそもそれを並べて交渉に使うというのが可笑しくて仕方ないけれど
子供が親に何かをお願いするときに○○を頑張るからという手段と大差はない。
「だけど結衣、最初からいらないって言わないのよ」
由香里さんは笑っていて
「はい。自転車だって欲しいですから」
「そうなのよ。どうしても欲しいわけじゃないんだけどやっぱり記念のひと品っていいじゃない」
私は何度も何度も頷いた。
「結衣、下見に行かない?」
「行きたい!」
私たちはすぐに立ち上がると
「じゃあ着替えるか」
私の自転車の下見には今着ているカットソーとデニムで何ら問題はない。
だけど由香里さんの欲しい着物の下見…
呉服屋さんへ行くには、はばかられる。
「30分で大丈夫?」
「私は10分もあれば…」
「あははは 了解。」
30分後に玄関で待ち合わせをして由香里さんは部屋へと戻っていかれた。