【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
渡辺さんにお昼いらないって言わなきゃ…
バッグを持って部屋を出ると急いで食堂へと向かった。
「渡辺さーん」
「へい」
厨房から渡辺さんが出ていらして小さく頭を下げられ
私も小さく頭を下げた。
「これから自転車見に行くからお昼はいりません」
「自転車ですか?」
渡辺さんは目をまるくして何で自転車?という顔だ。
「見に行くだけです」
その返事は可笑しかったようで笑いそうな顔なのはわかった。
「私が自転車で外に出るというのは可能だと思います?」
そんな問いかけには
「お1人でなければ大丈夫だと思いやすよ」
やっぱり1人じゃなければという言葉が入った。
それももう納得の範疇だ。
「ちなみに…今日のお昼って何の予定でした?」
「親子丼ですよ」
「あ…私の分それ夕飯でお願い」
「あははは 結衣さん親子丼なんていつでも作ってさしあげやすよ」
渡辺さんは優しい顔で笑っている。
確かにいつでも作ってくれるとは思う。
だけど渡辺さんの作る親子丼は本当に美味しい。
卵がふわふわで見た目だけでも美味しいのがわかるぐらい絶品。
食べてから行くかと思うぐらい食べられないことが惜しい。