【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
「ハァハァハァ…イタッ…アイタタタッ」
「結衣、頑張れ」
「ハァハァハァ…イタッ…アイタタタッ」
「はいもう一度息んで」
「クーーーーッ」
「上手ですよ。ほら頭が出てきましたよ」
「あ…頭?」
頭が出てくるなんて今さらながら恐ろしい。
「あーー。藤堂さんは出産が上手だ」
「ど…どこが…」
すぐに助産婦さんが
「産まれましたよ」
声をかけてくれた。
だけど赤ちゃんの泣き声がしなくて心配になると
すぐに オギャーッって小さくて可愛い泣き声がして
私の胸の上に産まれたての赤ちゃんを乗せてくれた。
「隼…産まれた」
「早くてびっくり」
「う…うん」
何だか出産に恐怖を感じている10カ月の方が相当しんどかった。
いやね…いくら安産だって痛いもんは痛い。
死にそうなぐらい痛い。
だけどその痛いのが短いっていうのはとてつもない大当りだ。