【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん


「少し休みなさい」


由香里さんに声を掛けられ


目を閉じると知らない間に眠りについていた。


寝がえりを打った瞬間に身体に違和感があって


出産した事を思いだし感動で涙が出た。


出産直後はいろいろな事が頭を巡り嬉しかったけれど


かみしめるまで頭が追い付かなかった。


今は胸の中まですごい幸せがいっぱいで涙が止まらなくなった。






入院中に驚く体験もたくさんあった。



初めての授乳…


助産婦さんが「おっぱい出して」


「は?」


「母乳あげないと」


「あぁ…はい」


それはわかる。


それはわかっているが


出す?


人前で?


へ?


女同士とはいえ恥ずかしさはある。


もぞもぞとしていると


「はいはい」


手なれた手つきで私のおっぱいを触り


母乳が出るか確かめだした。


「うわっ」


その声に助産婦さんが笑いだし


「明日ぐらいから張って痛く感じるかもしれないわ。その時は自分からどうにかしてって出すようになるから」


「あ…はい。すみません」


菫を抱いて初めての授乳。


ちゃんと吸いついて口を動かすけれど弱い力


「出てないですよね?」


「まだお互いが練習だから大丈夫」


「はい」




< 236 / 282 >

この作品をシェア

pagetop