【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
1か月検診が済み私の体調も問題なし。
菫の成長もまったくもって問題なし。
床上げというらしく私は昼間も昼寝以外はベッドで寝る事はなくなった。
少し家の中を歩きたい時には菫を抱いて日当たりのいい部屋へ移動する。
庭に出ることもある。
その姿を見れば大勢の組員さんも集まって菫はもう藤堂組のアイドルだ。
3か月検診も終わる頃には菫も起きている時間がだいぶ増えた。
首もしっかりしてきて怖々抱いていた組員さんたちも
「抱きやすくなりやした」
「いやぁ成長が嬉しいっす」
みんなが父親みたいで可笑しくなる。
食事の時も食堂へ連れていくようになった。
それは、食堂にもラックが置いてあり菫はそこに寝かされると
ゴロゴロとキャスターで引かれ大当たりの組員さんの横へと移動していく。
大当たりの組員さんは一口食べれば菫の顔を見て微笑み
また一口食べてはこたえもしない菫に話しかける。
そして必死に自分の売り込みが始まるわけだ。
私はそんな姿が可笑しくて仕方ないけれど
ここに並ぶ3人は面白くないらしい。
「結衣、何でいいなんて言った」
「え?」
「菫があっちに行くこと」
「食事の時間ぐらいいいじゃないですか」
私は気にもせず山盛りのご飯を口へと運ぶ。
母乳をあげている間は、こうもお腹がすくものかと
腹も身の内と身を持ってしったあの日が懐かしく思う。