【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん


隼が出掛ける時は車までは菫を抱き


そうとうに後ろ髪を引かれた様子で出掛けていく。


何度も

「今日やめるか」

「いってください」


そんなやりとりに溜息が出る。



見送りがすみ部屋へ戻ろうとすれば三浦さんがいてくれて


「はい」と菫を手渡せば慣れた手つきで

「お預かりいたしやす」


大事に菫を抱いてくれる。


その瞬間小さな笑みを零すのは菫も抱いてくれるのは三浦さんだとわかっているんじゃないかと思う。



三浦さんに菫を預けている間に私は部屋の中を掃除し、洗濯をする。


シャワーを浴びるのもこの時間だ。


迎えに行くのは三浦さんの部屋かいつもの和室


今日は洗濯を干しながら下を見れば車が止まっていたので和室だろう。


傘下の組からも本当によくみなさんがいらしてくれて


菫は極道の中で立派に生きはじめていると思う。


手をかけた離乳食を渡辺さんが作ってくれて


食事の時間が楽しみな様子の菫はスクスクと成長し


あっという間にハイハイをするようになった。



廊下へ菫をおろせばこんなにも動きまわれる環境にある事すら有難いと思う。


声を出してキャッキャッとハシャギながらぺたぺたと廊下を移動していく。


歩いた先にはいつも組員さんの誰かがしゃがんで待っていて


辿り着いた菫の頭を撫でる。


嬉しそうに笑う菫の笑顔を見ると組員さんもまた笑顔になり


藤堂組は優しい風が流れるのを感じる日々だ。






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