【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
この頃から、組の仕事を覚えたいという意欲が私にも強くなり由香里さんに少しずつ聞くようになった。
それは、知っている方が菫を守れる気がするからだ。
何も危険な事が起きているわけじゃなくもちろん私が何か出来るわけでもない。
それでも母性本能なんだろう。
出来る限りの装備を備えたい。そんなところだ。
それに時間もある。
菫と遊んでくれる手はいくらでもある。
由香里さんが菫と遊びたくても組の仕事におわれているのを知って
私も手伝いたいと思った。
「いいのよ結衣」
「いや、菫は遊び相手が引く手あまたですから」
その言葉で納得したように今由香里さんがやっている事を教えてくれた。
組織が大きくなったのでそれだけでも由香里さんの仕事は多い。
組を動かすための仕事ではなく、配慮に心をつくす由香里さんならではだ。
一生懸命ノートに書き記し聞き落とさないようにメモをするけれど
はじめて聞く言葉や祝い事のようなものはその流れなどイメージすら掴めない。
聞けば由香里さんも教えてはくれるが
「そこまで知らなくても大丈夫よ。自然と覚えるわ。私もそうだった」
優しい微笑みをいつもくださった。