乱華SS
真っ先に俺に目を向けた颯人は、寝起きのハズのくせにいつも通りの鋭い目をする。
「タク、下に梶来てるぞ」
「…わかってるっつーの」
窓からあの黒塗りを見やり、早く行けと俺を急かす。
お前本当は起きてただろ?と言いたいくらい、いつも通りの颯人(まぁ、髪はボサボサだけど)
「たく、なんで朝から俺が…あいつのお迎えなんかしなきゃなんねーんだよ」
陽炎が危ねえとは言え、こんな日くらい引き込ませろや。
雨の日とか、俺好きじゃねーんだよ。
ついポツリ小言を呟く。
…つーか梶がここまであいつ連れてこい。それで万事解決だろ。
あいつもそれなりにデキるはずだ。
陽炎蹴散らす力くらいあんだろ。
本当使えねーハゲだな。
ぶつぶつと心の中であのハゲへの不満をぶちまける。
まぁほとんど八つ当たりだけど。