たらし君の恋愛事情。


「んで?」

「え?」

席に戻った瞬間、みんなからの視線を浴びる。

「香里奈、好きな人は?」

「え、いないよ。」

「うそつけーーっ。」

どうやら興味はあたしの好きな人に変わったらしい。

「この前、角田(かくだ)君に告白されてたじゃん。どうしたの?あれ。」

「あ~、断った。」

「またぁ!?」

「藤田(ふじた)先輩も断ったんでしょ!?」

「付き合う気はないわけ?」

「だって気分乗らなかったしー…。話したことあんまりなかったから。」

「くぅ~、モテる奴は言う事が違うねぇ…。」

「まさに学校アイドル、だなぁ…。」

そう、なんだかんだ言ってあたしはみんなの言う〝モテる〟の部類に入るらしい。

だからと言って、誰でも付き合うわけじゃない。

ある程度話したことがないと無理だし…なんかいいなーって思えないとダメ。

「気が向いたら、ね。」

いっつもそう言って、誰とも付き合ってないんだけど、ね。
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