絆
「なな。帰ろ。」
そう。今日も変わらずに。
「うん!」
あたしは、ゆいに軽く挨拶をし、教室を出た。
あたしは、ゆいにたった1つ隠し事をしている。
それは、かいとの存在。
ゆいは、らいととかいとが兄弟なのを知らない。
言わないよ。
あたしは、ゆいにもっとステキなものをあげたから。
「今日なんの日か分かる?」
「え?」
「5月13日は?」
思い出した。
「あ・・・」
そしてあたしは、小さな声を出した。
「今日は兄貴の誕生日。覚えてただけで、兄貴は、喜んでるよ。ななの中に生き続けている、兄貴が。」
かいとの言葉は、心にしみる。
「そうだといいけど・・・」
そういい、あたしは微笑む。
「絶対そうだから」
そして、かいとも微笑む。
かいとは優しい。
大好きだよ。
けどね、なんでだろう?
恋愛対象としては、見れないの。
なんでだろう?
かいとの事が好きだったら、あたしは凄く幸せになれた気がする。