夜と紅と蒼と……

 初めて。少しだけ居心地悪そうなそぶりをみせる彼女に軽く首を傾げつつ、蒼太は口を開いた。
「そうですね。ちょっと変わった人だとは思います」
 素直な感想。
 こんなところで、初めて会う自分と、こんな時間に飲んでいる。
 そもそもどうして彼女が今ここにいるのか蒼太には見当もつかなかった。
 でも……
「……でも、綺麗だ 」
 一息だけ間を置いて、続けて出た蒼太の言葉に、彼女はほんの少し驚きの表情をうかべる。
「ホントに? ホントにそう思う?」
「嘘はつけない性分なんです」
 自分の言葉を探るように思いきり顔を近付けてきた彼女に少し動悸を感じながらも、蒼太は目をそらすことができないまま答えた。
「ホントですってば」
「ふぅん?」
 彼女はちょっと嬉しそうな顔でうんうんとなにやら頷くと、蒼太の顔を上目で覗き込み
「アルビノっていうんだって」
 聞きなれない言葉を口にした。
「え?」
「あたしみたいなの、アルビノっていうんだよ」
 最初に見せたいたずらな子供みたいな笑顔を、満面に湛えて自分を指差しながら……

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