夜と紅と蒼と……
何より、長い間、深い愛情をもって自分を育て、守ってくれていた両親を、三年もの間、ろくに連絡もいれず心配させていた償いがしたいと思っていた。
『電話なんてしたら……』
蒼太の声を聞いてしまえば、帰りたくて仕方なくなることは分かりきっていた。
あの居心地のいい部屋に。
あの穏やかな優しい人のそばに。
心のそこから支えたいと
生まれて初めて思った――蒼太。
『会いたい……』
ずっと一緒にいるなんていっておいて……
こんなにすぐに約束をやぶってしまった。
それでも、待っているといってくれたその言葉にすがろうとしている。
『あたしは、なんて都合のいいやつなんだ』
自分を蔑んでみても、会いたい気持ちにかわりはない。