夜と紅と蒼と……



『そうだ、あの時からだ……』

 昔のことを思い出し、自分が夜の景色をいとしく思う理由を、蒼太は思い出した。
 深い蒼に覆われた、静かで穏やかな夜。
 そんな夜に出会った人。

 ――紅葉

 自分が何故こんなに彼女に惹かれたのか。
 蒼太は初めて理解したような気がした。

 深い蒼によく映える白い肌。
 月明かりを受けてきらきらと光を反射する白い髪。
 時折強い光を放つ星にも似た紅い瞳。
 そして。
 強いようでどこか儚さを感じさせる。その魂。







 彼女は夜そのものだった――

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