夜と紅と蒼と……


 初めて会った瞬間から惹かれていた。
 何の躊躇いもなく、するりと蒼太の日常に滑り込んできたその人は……

 独特な笑顔が良く似合って。
 強引かと思えば遠慮がちで。
 気まぐれかと思えば、とても生真面目で。
 真っ直ぐで。
 強くて。
 そして……脆くて。

 誰も彼女の代わりになどなりはしない。彼女だから惹かれた。彼女だからこそ、そばにいたいと思った。
 彼女だから……居て欲しいと思った。

 今、この腕の中に確かにある、求めつづけたぬくもり。
 戻ってきてくれた。信じてくれていた。受け止めてくれた。
 大切にする。絶対に。

 色々な思いが膨れ上がり、溢れそうになったが、かろうじてそれを堪える。
 「蒼太?」
 胸の中で小さくかすれた声をあげた愛しい人を。
 蒼太は強く強く、抱きしめた――


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