夜と紅と蒼と……

 皆の祝福の言葉をうけ、なごやかな宴を楽しむ。
 宴も終わりに近付いた頃、紅葉は、白い布に包まれた大きな絵を熊蔵から手渡された。
「部屋に戻ってから見てくださいね」
 お礼を言う紅葉に熊蔵はそう告げ、目を細めて微笑んだ。
「そろそろお開きにしようか」
 シャンパンを調子よく飲みすぎて、眠りにつこうとしている偽神父の頬を軽く叩きながら言う律子の声に、皆頷き、それぞれの部屋へと戻ることにする。
「蒼太~あぁぁ。紅葉泣かすなよぉぉ!!」
 律子に、なかば引きずられるように連れて行かれながら、アキラが蒼太に叫んだ。
 完全に出来上がってしまっている。
 蒼太と紅葉は顔を見合わせて笑った。
「あなた達も、もう戻っていいわよ。かたづけは私達がするから任せて」
 母の言葉に促され、二人も部屋に戻ることにした。


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