夜と紅と蒼と……
部屋に戻ってすぐに、二人で熊蔵にもらった包みを開く。
絵を包む白い布をほどいた瞬間二人は目を見開いた……
深い蒼を背景に。
薄く紫がかった月を胸に抱き。
ひっそりとたたずむ。
真っ白な女神――
その瞳は赤く。
とても穏やかな表情で……
胸に抱いた月を見つめている。
絵を見つめる紅葉の瞳から、涙が溢れた。
小さく体を震わす紅葉の肩を蒼太がそっと抱きよせる。
柔らかなタッチで描かれたその絵は、書いた者の思いがはりきれんほどに漲り。ただただ静かに、二人に語りかけるように色を投げかける。
溢れんばかりの愛情がそこにあった――