夜と紅と蒼と……
気を取り直してパソコンの画面へと視線を戻す。アルビノに関する情報はネット上でたくさん見つかった。
何種類か型もあるようなので、紅葉の容姿に一番近いと思われる型を調べてみる。
主な特徴は紫外線に対する免疫力が弱いこと。
それは外にかぎらず室内でも注意が必要であること。
逆に、それなりの対策をとれば外出も可能である。
蒼太は、奥の部屋の窓のことを思い出して、何故彼女がこの部屋にいたのか理解した。何故隣に寝てたのかまではわからないが……
次に視力が極端に弱いこと。
公園で話してる時、彼女は何度も顔を極端に近付けてきて、蒼太はそのたびにドキっとしたのだけれど、これも物を見ようとするためにそういう行動をとるのが身についているせいだと思われる。
ちょっとだけ違う解釈をしていた自分に蒼太は苦笑した。
『思春期じゃあるまいし』
たったそれくらいのことで、胸の動悸を早くしていた自分が、今思うとなんとも情けなくおかしい。
『どうしたってんです』
思えば、今、こうして彼女の為に一生懸命調べものをしていること自体、ちょっとどうかしている。
まだ会ったばかりの彼女。夜がとてもよく似合う、神秘的で綺麗な彼女。
出会った時の彼女の姿にとても驚いたのだけど、それは、怖いとか気持ち悪いという類のものではなかった。
それは、例えるなら、思いがけないところで、とても美しい風景に出会った時の感動に近い驚きと似ている。
『これが一目惚れっていうんだろうか?』
頭にうかんだ、その言葉の響きがなんだかおかしくて……思わず蒼太は苦笑した。