夜と紅と蒼と……
それに気が付き、蒼太はカップをテーブルに置いて立ち上がると隣の部屋へと向かった。
そして押入れからタオルケットを取り出し戻ると、ホットミルクをちびちび飲みながらテレビを眺めている紅葉の肩にそれを掛けてやる。
「蒼太さぁ……なんか、お母さんみたいだよね~」
紅葉はクスクス笑った。
「なんとでも言って下さい。風邪ひかれるよりマシです」
「あはは。ホントお母さんみたい」
「……じゃ、紅葉さんは手に負えない悪ガキってとこですね」
「うーるーさーぃ」
思わぬ反撃に口をとがらかす。
そんな姿がかわいらしい。
七つも歳上なのに、そう感じさせないのは、容姿だけの問題じゃなく、そんな表情や仕草のせいかもしれない。
蒼太は苦笑しながら、自分もシャワーを浴びるため浴室へ向かった。
『まだ二十二時か……』
壁にかかった時計で時間を確認する。
今日は遅くまで寝ていたから眠気はない。明日も日曜日で休みだし時間はたっぷりある。