夜と紅と蒼と……






 ――僕は酔ってるんだろうか?


 月明かりの綺麗な夜。
 深い蒼い夜を背にこちらを覗き込む紅い瞳。

「うわ~そんなに露骨に驚くかね」
 変声期の少年の様な声の持ち主は、からからと笑った。
 透き通る様に白い頬に、薄くグレーがかった少し長めの前髪がぱらりとかかり、紅い瞳がよりいっそう際立つ。
「なんで一人で飲んでんの?」
「いや……えっと……」
 隣に腰をおろしビールの入った袋を指差しながら、にまっと笑うと。その人物は
「いい?」
 そう聞いてきた。
「どうぞ……」
 戸惑いながら頷くと。
 陶器のように白いその顔に、綺麗な笑みが浮かんだ――



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