夜と紅と蒼と……
いつもの様にコンビニでビールとつまみを買い込んで公園へと向かう。
人気のない夜の公園。
誰にも邪魔されることない静かな空間。
町を見下ろせる場所に置かれたベンチへと真っ直ぐ向かい腰を降ろす。
町に瞬く光と、空の光が同時に見渡せるこのベンチが、蒼太の指定席。
傍らに置いたコンビニ袋から冷えた缶をとりだし、プルタブを押し上げる。
冷たくかすかな刺激を伴い喉を降りていく感覚と、心地よい静寂が仕事の疲れをほぐしてよく。
いささか二十一の若者にしては暗いと思われるだろうが、大勢で街へでて飲んで騒ぐのはあまり好きではない。
それより一人静かに過ごすのを蒼太は好んだ……
「いいな―。うまそーだね―」
誰もいないと思ってたのに。不意に後ろから投げかけられた声。
思わぬ出来事に蒼太の肩がピクリと小さく跳ねた。
こんな時間帯にこんな場所にくる人間はこの辺にはいない。
今までこの週末の恒例行事中に誰かに出くわしたことなんてない。ましてや誰かに声をかけられるなんて……
おそるおそる振り向く。
――そして
振り向いた瞬間、驚いて目を見開いた。
夜の闇に月明かりを浴びて浮かぶ白い姿。
そして印象的な紅い瞳。
そこにいたのが、前述の人物である。