夜と紅と蒼と……
アキラは幼い頃からの数少ない友人だ。
家が隣同士で同じ年ということもあり、よくからかわれて喧嘩もしたのだが、しょっちゅう喧嘩しているうちに自然と仲良くなった。
学校に行くようになってからは周りからかばってくれたりすることもしばしば。親同士も仲が良かったので、身内のようなものだ。
家を出てからも、時折こうして電話をかけてくれる。
「今どこにいるんだ? 親父さん達心配してるぞ。たまには連絡してやれよ」
「うん……わかってる。それよりあんたはどう? 律ちゃんと上手くやってる?」
去年、アキラは結婚した。相手は律子と言って、紅葉の高校時代の友人だ。
サバサバとして頭の良い、姉貴肌で面倒見がいい律子は、周りから孤立しがちだった紅葉を常に気にかけてくれた。
最初はただのお節介かと思っていたが、紅葉がだんだんと学校に行かなくなってからも毎日遊びに誘いにくる律子に、根負けした。
そうして出来た初めての女友達。
しょっちゅう家に遊びに来るようになった律子は、自然アキラとも顔を合わすようになり、次第に三人で過ごす時間が増えた。
それが、いつの間にかそういうことになっていたらしい。
紅葉を通じて知り合った二人が結婚すると聞いたときは、複雑な気分だったのを思い出す。
嬉しいと思う反面、自分だけ取り残されたような気持ちになって少し寂しい気分。
けれど、二人は結婚してからも、それぞれ連絡をくれたから、そんな寂しさはすぐに消えてしまった。
二人が紅葉の良き理解者なのは今も変わらない。
「それがさ……」