愛しき日々へ
第一章
*永遠別れ*
蒸し暑い夏の日差しが照りつける。
今日は母さんの葬式だった。
元々天涯孤独だった母はシングルマザーで俺をたった1人で育ててくれた。
真面目でいつも凛としていた母は会社でも仕事場の人に頼りにされるカッコイイキャリアウーマンで娘の俺からしてもすごく尊敬できる美しい女性だった。
忙しくて家にはあまり居れない母だったけどそれでも家にいるときは俺によく付き合ってくれ、学校行事にもできるだけ参加してくれた。
なにより、俺の一番の理解者で、一番の味方でいてくれたのは他ならぬ母だ。
温かくて、優しい自慢の母さん。
しかし、その人は交通事故でなんの前触れもなくこの世を去った。
相手は脇見運転で青信号を渡っている母に気がつかずそのまま母を轢いたらしい。
正直、いままで今でも頭の中は混乱している。
実感がないというか、他人事のようにどこか遠くで起こっていることのように思えてしまう。
ただ、母さんは即死だったらしく母さんが苦しまなくてよかった…っと頭のどこかで思っていた。
そして俺は何も考えられないまま時の流れに身を任せていた。