愛しき日々へ
*第一印象は最悪で*
母さんが亡くなって1週間後。
もう1度、やって貰ったDNA鑑定もやはり結果は同じだった。
別に行きたいのを渋っていた訳では無いけど少しだけ複雑な気分だ。
そして、今。
俺は笹木さんに連れてこられ父親の住む邸宅に来ていた。
都会の騒がしさから少し離れた静かな住宅街。
そこから少し登った丘の上にその豪邸が父親の家らしい。
金持ちだとは聞いていたが…なんか今ようやく実感したな。
「砂羽くん、大丈夫?」
「…あぁ、はい。」
正直全然大丈夫じゃねーよ。
肩にかけたボストンバックをかけ直し息を吐き出す。
あの後、床で寝たせいか喉が痛くなって今はマスクをつけてるし、元々服はそんなに持ってないから黒のパーカーのフードをかぶって下はジーンズというラフな恰好だ。
多分、この恰好は不審者ぽいんだろうな…。
ボストンバックには少しの服と母さんの写真が入っていて後の処理は笹木さんがしてくれた。
笹木さんには感謝しなくちゃいけないな。
ちなみに、笹木さんに女だっていえばかなりビックリされた。
結構その反応こたえるんだけどな…。
そして今だに砂羽“くん”なのはどうしてなんだろう。