愛しき日々へ



誰だ、こいつ…っ。

驚いたまま男を凝視する。

綺麗な黒髪のストレート。

大きくもなく小さくもない切れ長の灰色の瞳にすっと通った鼻筋。

身長は180以上はありそうでまるでモデルかっていうぐらいの美形のそいつは俺を見ると小さく笑った。

「あいつ等も見る目ねーな。」

「……は?」

あいつ等って誰だよ。

「で、昨日来たばっかりの“砂羽"ちゃんはどこにいくんだ?」

「っ、お前マジ誰…っ?!」

こいつ今なんて言った?


砂羽…ちゃん?


「なんで、今俺のこと…。」

「こんなかわいい顔した男がいたらそれはもう男じゃねーよ。」

髪が長かったときも男に間違えられることはあった。

髪を切ってから一度も初対面では女に見られなかった。

それをはじめて俺を女だとわかったその男は綺麗に笑ったんだ。



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