Lightning
如何にサイボーグとはいえ、200キロもの距離を走るのは時間がかかる。

ジョンがコンビナート付近に到達する頃には、既に現場は警察や戦術自衛隊によって厳重な包囲が敷かれていた。

「……」

ジョンは跳躍力を生かし、近くの高い建物の屋上に飛び上がる。

大きな河口を隔てた向こう岸に広がる、臨海工業地帯。

石油貯蔵施設、化学工場、蒸留塔や反応器があり、それを鉄骨やパイプが囲み、煙突が白煙を上げている。

無骨な造りの工場が未来都市の様相を帯びる。

配管、タンク群の、重厚な構造美。

しかし。

ジョンが自身の目を望遠モードに切り替えると。

「やはりな…」

コンビナートの敷地内には、FN SCAR(特殊部隊用戦闘アサルトライフル)やP90短機関銃を手にした兵士達が巡回している。

恐らくは一部義体化を施した、ブラックアウトカムズのコントラクターだろう。

その他にも、二足歩行の無人機の姿も見受けられる。

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