Lightning
潜入に成功したジョンは、隠密行動のまま蒸留塔沿いの階段を駆け上がる。

工事現場では、高さが高くなるにつれて作業用の仮設足場を組むが、この際、型枠上部に器具を取り付け、逆三角形に組んだ鉄パイプの上に通路を造る。

これをキャットウォークと呼ぶ。

このコンビナートにも存在し、警備兵の目を盗んで潜入しているジョンにとっては好都合の隠れ場所と言えた。

キャットウォーク上から、眼下の警備兵を見下ろすジョン。

彼が一人になったのを見計らって。

「っ!」

頭上から高周波ブレードを構えて舞い降り、刺突にて仕留める。

単独潜入の身だ。

敵に見つかる事は避けたかったし、発見されれば発砲されるかもしれない。

ジョンの義体に弾丸など通用はしないが、ここはコンビナートだ。

流れ弾が石油タンクにでも命中すれば、大惨事を引き起こしかねない。

ノーアラートが絶対条件だった。

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