心を全部奪って
「あのさぁ」


「ん?」


「それのどこがわがままなんだよ。

恋人だったら、当たり前にあることじゃないか。

別に特別でもなんでもない。

すぐに返信くれるって言うけどさ。

それって言い換えれば、メッセージだけで済ませてるってことだろ?」


「そ、そんなこと…っ」


「だってそうじゃん。

お前が会いたいって言ってんのに。

寂しいって言ってんのに。

アイツは、お前に会いに来れないんだろう?

普通の恋人だったら、夜中にだって駆けつけてやれるし。

朝まで一緒に居てやることだって出来るのに。

でも、アイツは自分の都合の良い時しか来てくれないじゃねーか。

それの、どこが優しいんだよ!」


霧島さんの言葉に、ぎゅっと下唇を噛んだ。


何も言い返せなくて、思わず目を伏せた。

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