心を全部奪って
「今日俺があんたにしたようなこと、アイツに出来るのか?」


霧島さんがしたことって、何…?


「日曜日の朝から一緒にドライブしたり、スポーツしたり。

海を見たり、外でメシ食ったり、友達に紹介したり。

アイツにそれが出来る?」


「そ、それは…。

もう諦めてる。

だって、仕方ないでしょう?」


隠れて会うしかないんだもの。


好きになった時点で、その覚悟は出来てた。


出来てたはずなのに…。


どうして今、心がこんなに揺れるんだろう。


「あんた、気づいてなかったかもしれないけどさ…」


そう言って、私の頭にそっと手を置く霧島さん。


「今日、すげー笑ってた」


「え…?」


思わず目を上げると、霧島さんはすごく優しい瞳をしていて。


その瞳にドキッと心臓が跳ねた。



「普段、全然笑わないあんたが。



今日はすげー笑ってた」

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