心を全部奪って
俺の話を聞きながら、俺の頭にカラーリング剤を塗布する義兄さん。


結構冷たくて、ちょっとビックリした。


「モヤモヤして、つい焦ってしまうってこと?」


「うん、そう。

それでついとんでもない行動に出たり、心にもないひどいことを言ってしまう」


「コントロールできないんだ?」


俺はうんと頷いた。


「だってさ…」


「ん?」


「すげー素直な子なんだ…」


奴隷になれだなんて。


そんなの断る方法は、いくらでもあるはずなのに。


俺の脅しを真に受けて、素直に従ってさ…。


「しかもさ、無防備で隙だらけなんだ。

もう超危険」


俺が強引過ぎたからなのか、もともと押しに弱いのか。


どっちなのかはわからないけど、男が付け入る隙があり過ぎるんだ。


あんまり目立ちはしないから、そこまで男にモテて来なかったかもしれないけど。


でも一度視界に入ったら、目を逸らせないくらいの透明感と美しさがあるから。


それに気づいた男は、ラッキーかもしれない。

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