心を全部奪って
「大丈夫だよ。

拓海はあの美紗の弟だろ?

一途に思っていれば、いつか思いは届くよ」


「姉貴?」


「うん」


「あぁ、そうか。

姉貴って裕樹アニキのこと、執念で落としたんだもんね」


「執念ってことはないけど…」


義兄さんは、高校時代にずっと好きだった女の人がいて。


その人以上に好きになれる人が、なかなか現れなかったんだ。


誰に告白されても断って、心を閉ざした感じだったらしい。


だけど俺の姉貴は、そんな義兄さんをまるごと受け入れたんだ。


その人を好きなままでいい。


そんな義兄さんごと好きだって。


そんな姉貴の包容力に、義兄さんは次第に心を開くようになったんだ。


そして1年という期間を経て、ついに義兄さんは姉貴を好きになったんだ。


時間はかかったけど、姉貴は信じて待ったんだ。


変わらない、温かい愛で。

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