心を全部奪って
約束
狭いワンルーム。
壁にピッタリくっ付けたシングルベッド。
そっと手を伸ばすと、ザラっとした感触の壁紙が指先に触れた。
「ひまり」
優しい声と共に、タバコの香りがふわりと私を包み込む。
ギシッとベッドが軋む音がして、彼との距離が一気に縮まった。
「今日のひまり。
いつもより激しかったね」
うつ伏せになっている私の背中をそっと撫でる工藤さん。
枕に埋めていた顔を、チラリと工藤さんに向けた。
「ごめんなさい…」
「いや、謝ることはないよ。
むしろ嬉しいくらいだ」
優しく微笑む工藤さんを見つめながら、私の心の中は罪悪感でいっぱいだった。
だって私…。
誰のことを考えてた?
大好きな工藤さんに抱かれながら、
一体
誰を想像していたの…?