心を全部奪って
謝るって…。


「そ、そんな必要ないですよ。

元はと言えば、

悪いのは私の方なんですから」


「でも…。

朝倉さんを傷つけたのは確かだから。

そのことについては、きちんと謝りたい」


チラリ霧島さんに目を向けたら、バチッと視線が絡み合ってしまった。


霧島さんの瞳は子犬みたいにウルウルとしていて、胸がチクリと痛くなるほどだった。


「事務的な会話しか出来ない、今の状況はイヤなんだ。

なんだか仕事もやりづらいし。

俺は仲良くやりたいって思ってる。

こんな状況になったのは全部俺の責任だし、悪いのは俺だから。

頼むよ。

ちゃんと謝罪するチャンスが欲しい」

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