心を全部奪って
「え~!

2ヶ月に1度しかない同期の飲み会に来ないつもりなの~?」


「次回は行くからさ」


「拓海が来ないんじゃ、盛り上がるわけないじゃーん」


「そんなことないだろう?

他に10人もいるんだから」


この会社は、同期がとても仲が良いんだよね。


確か、工藤さんもそうだったはず。


おそらく新入社員研修の時に、結束が固くなるんだろうけど。


中途採用の人間からしたら、なんだかちょっぴり居心地が悪い。


「なんか最近、拓海の付き合いが悪いって、同期のみんなが言ってるよ」


「しょうがねーじゃん。

仕事が忙しいんだよ」


「えー。拓海って、前からそんなに仕事人間だった~?

入社した当初は、適当にやってるように見えたけどねぇ」


「お前、結構失礼なヤツだな」


二人の会話を聞きながら、私はグラスに入った水を飲んだ。


チラッと一瞬だけ二人の方を見ると、いつの間にか霧島さんの腕に彼女の両腕が絡みついていた。


「あれ?拓海。

隣の人はお連れさん?」

< 138 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop