心を全部奪って




「桃香ー。悪いんだけど、マスカラ貸してくれない?」


「いいよー」


「来週の合コンどうする?」


「歯科医師さんが来るんでしょ?ちょっと期待できそうじゃない?」


お昼休み、食堂で時間ギリギリまでおしゃべりしているのは同期の女子4人組。


部署はみんなそれぞれ違うけど、仲良しで一番気楽な友達。


「それにしてもさぁ、最近の霧島君、ホント付き合い悪いよねー」


「この前の同期の飲み会なんて、途中で抜け出したもんね。

あれにはビックリだった」


確かにみんなの言う通りで。


最近の拓海は、同期のあたし達との付き合いが悪い。


男の子達に対してでさえそうなんだから、女子はなおさらそう感じてしまう。


「この前、同期の緒方君に聞いたんだけどさ。

霧島君って、同じ部署の朝倉っていう営業アシスタントと、やけに仲が良いらしいよ」


営業アシスタントと聞いて、無意識にピクリと頬が動いた。

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