心を全部奪って
交錯
「朝倉さん、例の会議資料出来てる?」
「朝倉さん、K製作所の納期いつになりそうかな?」
毎度毎度そうだけど、月曜日の朝は忙しい。
電話だって多いのに、営業マンからの指示も山のようにあって。
正直、目が回りそう。
そんななか一人だけ。
黙々と机に向かって仕事をする男性の姿が。
そう。
霧島君だ。
彼は朝から、私の方を見ようともしない。
挨拶もなければ、目さえ合わせてくれない。
だけど、隣からピリピリした空気だけは伝わって来る。
そうさせているのは、他でもない私だけど。
胸が苦しくてたまらない。
本当に倒れてしまいそうなほど、ひどく居心地が悪かった。