心を全部奪って
バトル勃発
「ごめんな、義兄さん。
せっかくの休みの日なのに」
「ううん。全然構わないよ」
美容院が休みの月曜日。
俺は義兄さんを昼飯に誘った。
「仕事中に俺を呼び出すってことは、何か話があるんだろう?」
「あー…、うん」
「例の女の子のこと…?」
「まぁ、ね…」
朝倉の口から、工藤課長と別れられなかったと聞いてから一週間。
なんだか俺は、仕事が手につかなくなっていた。
もちろんやるべきことはやっているけど、新規開拓に燃えるような気力はなくなっていた。
工藤課長と会わせないようにするために、朝倉の残業を増やす意味なんてもうないし。
こんな俺って、第一営業部にいる意味があるのだろうか。