心を全部奪って
「朝倉さん」


「はい」


「どうして呼び出されたか、心当たりはあるかい?」


白髪混じりの貫禄のある大沢部長。


面接の時に会って以来だ。


「いえ、全くわかりません」


朝から美帆ちゃんの様子も、亜由美先輩の様子もおかしくて。


ワケがわからないことだらけ。


「今朝、メールを開いてみたかい?」


「いえ。

メールチェックをする前に、課長にこちらに伺うよう言われたので…」


「そうか…」


そう呟くと、大沢部長はノートPCを私の目の前の机に置いた。


「ちょっとこれを見てくれ」


「これ、ですか?」


自分の方に画面を向け、覗き込んだ直後。


ドクンと心臓が大きく跳ね上がった。

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