心を全部奪って
うそ…。


うそでしょう?


こんなことって…!


「今朝、このメールが社内に一斉送信されていたんだ。

誰が発信したのか、今システムの人間に確認中だがよくわからない」


「一斉…送信…?」


「朝倉さん。

このメールに書かれていることは、事実なのか?」


どうしよう。


なんて答えればいいの?


指先がブルブル震える。


ぎゅっと握りしめると、すっかり冷たくなっていた。


「あの…。

工藤課長はこのことを…?」


「それは、もちろん知っているさ」


「な、なんとおっしゃっていましたか…?」


「工藤君かい?」


「はい…」


「彼はね、



キミに誘惑されたと言っていたよ」

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