心を全部奪って
小さい頃のひまりは、


とても天真爛漫だった。


本当に明るくて無邪気で。


お前がいると、それこそひまわりが咲いたように、周りがぱっと明るくなっていたよ。


お父さんもお母さんも、一人っ子同士の結婚だったから。


お互いの両親にとって、たった一人の孫で。


ひまりは両方のおじいちゃんおばあちゃんから、それはそれは可愛がられていたよ。


ひまりの誕生日には、沢山のプレゼントが届いたものだ。


そんな優しい祖父母4人と母親に愛されて、


ひまりはのびのびと育っていたけれど。


その反面、お父さんは少し不安だった。


このままだと、もしかしてわがままな女性に育ってしまうかもしれない。


そう思ったから、お父さんはあえてひまりに厳しくしていたんだ。


それは、どうしてか?


ひまりに素敵な女性になって欲しかったからだよ。


お父さんはただそれだけを願って、ひまりを育てていたんだ。


決して、嫌いだったわけじゃない。


ひまりを大切に思うからこそ、


あえて悪役に徹していたんだよ。
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