心を全部奪って
「な、何をするつもりなの…?」


我ながら、わかりきった質問をしたなと思った。


「無理矢理するって言うなら、それは犯罪よ。

まだ出会ったばかりだけど、

同じチームの仲間だし。

あなたを犯罪者にしたくはないわ…」


すごく怖いけど。


とにかく冷静になって欲しくて、必死に言葉を探した。


「なに?

課長や部長に告げ口するんだ」


「そ、そんなの当然じゃない」


「そうしたら俺、会社をクビになるのかな?」


「きっと、そうなるでしょうね」


霧島さんの手が、私の両手首を強く握り締めている。


それが痛くて痛くて、なんだか泣きそうだった。


「いや、


俺はクビにはならないな」



「え…?」



「クビになるのは、あんたの方じゃないのか?」



「どうして私がクビになるのよ」



言い逃れでもする気なのかしら。



そんなの絶対許さない。



「だって俺、




あんたの秘密




知ってるから…」

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