心を全部奪って
秘密―――――。


その言葉に、


全身が一気に凍りついた。


少なくとも私には、


それはたったひとつしかない。


絶対に誰にも


知られてはいけない。


絶対に誰にも


踏み込まれてはいけないこと。


それなのに


まさか……!



「あんた


工藤課長と


デキてるだろ?」



完璧なほど整った


人形のように冷たい顔。


こんな状況の中で


その口から


私が愛してやまない人の名前が出てくるなんて…。


ナイフで深く胸を刺されたような


そんな気分だった。



「ビックリした?


誰にもバレてないと思ってただろう?」



ブルブルと震える唇。


あんなに細心の注意を払っていたのに。


どうしてこの人が知っているの…?


まさか他にも知っている人がいるの?


工藤さん。



どうしよう。



どうしたらいいの…?

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