心を全部奪って
工藤課長の腕を掴んでいた俺の手を、ヤツがそっと離す。
ヤツは俺の顔を一瞬見ると、深いため息をついた。
「もう…、何を言っても信じてもらえないだろうと思うが…」
「……なんだよ?」
何を言うつもりなんだ?コイツ。
俺はゴクリと喉を鳴らした。
「俺は、本気でひまりと一緒になるつもりだった。
それは、本当のことだ」
「はぁ~?」
じゃあ何?
離婚届を見せたり、一緒に物件を探したりしたのは、本気だったからってこと?
そんなの言葉だけならいくらでも言えるからな。
悪いけど、絶対信じられない。
「俺と妻は表面的にはうまくいっていた。
ケンカも一切なかったし。
だけどそれは、互いに関心がないとも言えるもので。
すっかり冷めた夫婦だった。
いつの間にか入った亀裂は、気が付いた時には随分大きくなっていて。
ある日突然、妻は家を出て行ったよ。
しばらく実家に帰ると言ってね。
これはもう
離婚へ踏み切るための前段階だと、
俺は冷静に思った」
ヤツは俺の顔を一瞬見ると、深いため息をついた。
「もう…、何を言っても信じてもらえないだろうと思うが…」
「……なんだよ?」
何を言うつもりなんだ?コイツ。
俺はゴクリと喉を鳴らした。
「俺は、本気でひまりと一緒になるつもりだった。
それは、本当のことだ」
「はぁ~?」
じゃあ何?
離婚届を見せたり、一緒に物件を探したりしたのは、本気だったからってこと?
そんなの言葉だけならいくらでも言えるからな。
悪いけど、絶対信じられない。
「俺と妻は表面的にはうまくいっていた。
ケンカも一切なかったし。
だけどそれは、互いに関心がないとも言えるもので。
すっかり冷めた夫婦だった。
いつの間にか入った亀裂は、気が付いた時には随分大きくなっていて。
ある日突然、妻は家を出て行ったよ。
しばらく実家に帰ると言ってね。
これはもう
離婚へ踏み切るための前段階だと、
俺は冷静に思った」