心を全部奪って
それ以来、ひまりに会えない日が続いた。


たまに社内でひまりを見かけた時は、


いつだってキミと楽しそうに話していて。


俺には見せたことのない笑顔をキミには向けていることに


俺はひどく嫉妬したよ。


多分、このままだと別れを告げられる。


そう思った俺は、役所に離婚届を取りに行った。


いつでも出せるよう、誤字もなくきちんと書いて判も押した。


案の定、彼女は別れ話を切り出して来たけど、


俺はすぐに止めに入った。


本気で愛しているから、一緒になろうと言った。


その言葉には、嘘偽りはなかった。


妻と別れて、彼女と新たな人生を歩もう。


そう…思っていた。

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