心を全部奪って
すごく幸せな日々だった。


今までは会えなかった昼間に一緒に過ごしたり。


物件を見に行ったり。


彼女との生活を想像するだけで、心が弾んで来るのがわかった。


あとは妻と決着をつけるだけ。


そう覚悟を決めて妻の実家に電話を入れたら、


言われたんだ。


お義母さんに…。




『のぞみが妊娠してる』



呆然としたよ。


確かに身に覚えはあった。


本当に久しぶりに妻とそういうことがあって。


まさかその時に、お腹に子供が宿っていたなんて…。


『優也さん。

のぞみが赤ちゃんを諦めるって馬鹿なことを言ってるの。

早く止めに来てちょうだい!

やっと孫の顔が見れるって、お父さんも楽しみにしてるのに。

ねぇ、お願いよ。

もうつまらないケンカなんかやめて、優也さんの家に帰るように説得してちょうだいよ』

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