心を全部奪って
それにしても暑い。


こんななか外に出たら、バテちゃうかな。


『これから暑くなるしさ、

星を見に行ったり、キャンプもしよう。

旅行なんかもいいかもな』


ふと、霧島君の言葉を思い出した。


彼はああ言ってくれたけど、夏が苦手な私。


ましてやアウトドアなんて、かなり億劫なのに。




考えてみたら、彼は本当に強引な人だった。


朝早く私を起こして、8時にはここを出発しちゃうんだから。


車に乗ったら乗ったで、ものすごくテンションが高くて。


自然の風の方が気持ち良いからって、暑いのに窓を全開にしちゃって。


大きな声で歌って。


もううるさいったらありゃしない。


あんな人、初めてだった。

< 290 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop