心を全部奪って
俺の住んでいる町の駅に到着すると、アパートまでの道をまた歩き始めた。


この道を歩いていると、俺の歓迎会のあの日を思い出す。


結構酔っちゃって、朝倉の肩を借りて帰ったっけ。


あの頃の俺は、完全に舞い上がってたよな。


自分のこと『僕』とか言ってたもんな。


誰だよ?僕って。


多分ああでもしてないと、平常心を保てなくてヤバかったんだろうな。


部屋に朝倉を入れた途端、歯止めは利かなくなったけど。


「ちょ、ちょっとここで待ってて」


アパートに到着したはいいけど、自分の部屋がどういう状態かわからないから、とりあえずチェックに入った。


ちょっと衣類が脱ぎ散らかされてたけど、そこまでひどくはないな。


俺はエアコンのスイッチを入れて、朝倉を中に入れた。

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