心を全部奪って
「「いただきます」」


二人でそう言った後、食事をいただいた。


霧島君はと言うと、ただ黙々と私が作った料理を食べていた。


何も言ってくれないけど、もしかして口に合わなかったのかな。


薄口が好きなのか濃口が好きなのか、ちゃんと聞いておけば良かったな…。


残念に思いつつ、とりあえず私も口にする。


一回分しか作らないし、必要最低限の材料しか買って来なかったのがまずかったかなあ。


炊き込みの具だって、もっと沢山の方が美味しいもんね。


だけど材料が余ったら、きっと無駄になっちゃうもんね。


あの冷蔵庫を見ていたら、料理はしないんだなってわかっちゃったし。


結局、特に会話もないまま食事は終了。


とりあえず、食べ終わったお皿をキッチンに運ぶ。


お皿を洗おうとスポンジを手にしたその時、


霧島君にパッとその手を取られた。


< 307 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop