心を全部奪って
「驚いた?」


「ん?うん…」


まさか工藤さんが、営業所に行かされるなんて。


「少しは、スッキリした?」


「そう、だね。

でも、ちょっとだけ気の毒な気もする…」


「はぁ~?

何言ってんだよ。

誘惑されたなんて嘘をついて、朝倉だけクビになったのに」


確かにそうだ。


私は裏切られて、捨てられたんだものね。


「ありがとう…。

霧島君がいなかったら、私はずっとみんなに誤解されたままだったよね。

彼も私も同罪になれて、やっとこのことを完全に忘れられる気がする…」


二人で罪を犯したんだもの。


ちゃんと二人で罰を受けられて、よかったと思う。

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