心を全部奪って
だけどこれからどうしよう?
モクモクと湯気の上がるシャワールーム。
キュッと栓を閉めると、シャワーカーテンをシャッと開けて、バスタオルで身体を拭いた。
霧島君のアパートのお風呂は、トイレと洗面が浴室内にあるいわゆる3点ユニットというやつで。
なんとかお湯を溜めて入ることも出来るかもしれないけど、実際やろうとしたらなかなか難しいだろうなと思った。
濡れた鏡を手で拭って、自分の顔を映し出してみる。
なぜか自然にこぼれてしまう笑み。
やけにウキウキしている自分がいる。
さっき、霧島君と一緒にお皿を洗った。
霧島君が洗剤でお皿を洗って、私がそれを水ですすいだんだけど。
時々霧島君が「あ、間違えた」って言いながら、私の手をわざと洗うからおかしかった。
洗剤でヌルヌルの手で、何度も私の手を握ってはクスクス笑う。
泡を顔につけようとしたり、イタズラばかりする彼。
だけどそんな何でもないことが、霧島君となら楽しい。
どうしよう。
ワケもなく幸せだ。