心を全部奪って
自分の欲望だけを押し付けるような、


荒々しいキス。


口内が激しく犯されて、


心と身体が引き裂かれそうだった。


こんな人が同じ部署に来るなんて。


しかも、席が隣だなんて…。


やっと手に入れた平穏な日々を、


この人が奪っていくの?


あまりに悲しくて、


目尻から涙が溢れる。


その涙が床に落ちたと同時に、


長い長いキスは終わりを告げた。


ゆっくり身体を起こす霧島さん。


やっと解放された私も上体を起こして、


ブルブル震える身体をそっと抱きしめた。


シンと静かなワンルーム。


二人の乱れた息遣いだけが響いていた。


「言っておくけど、会社を辞めようとか無駄な抵抗はやめておけ。

お前らが別れない限り、工藤課長の立場が危うい事には変わりないんだ」


霧島さんの言葉を聞きながら、両手でスカートをぎゅっと握り締めた。

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